旅先で初めて乗るバスを待ち、バス停で今か今かとそわそわする経験、ありませんか？

1時間に何本もないバスが時間通りに来るわけもなく、首を長くして待っている時、やっと来たバスの行先表示が回送中だったら本当にがっかりします。

今回旅先で出会ったバスは、ちょっと素敵なバスでした。やっと来た! と思ったら、行先表示に「すみません回送中です」と出ていたのです。思わず心の中で「あ、回送中ですか。いえいえ、こちらこそご丁寧にすみません」という気持ちになりました。そして、ほっこりした気分で、遅れているバスを待つことができたのです。

この行先表示を掲げたバスは、以前よりあれこれ日本各地で目撃談があるようです。今回出会ったバス会社「南海りんかんバス株式会社」の広報の方に、この行先表示の理由について尋ねてみました。「折角来たバスが回送中で通り過ぎ、残念な気持ちになってしまうお客様に、少しでもほっこりした気持ちで待って頂きたいからです」とのこと。まさに、私が体験したそのものでした。

当たり前のことですが、サインの先にはその情報を受け取る人がいます。「回送中」から「すみません回送中です」と表現を替えるだけで、受け取り方が変わります。南海りんかんバスの広報の方は「弊社が最初に始めたことではないのですが･･･」と謙遜されていましたが、お客様に配慮してこの行先表示の採用を決めた、伝える気持ちが大切。サインは伝え手と受け手とのコミュニケーションなのだ、ということに改めて気づかされる出来事でした。

□取材協力

南海りんかんバス株式会社

http://www.rinkan.co.jp/

※画像について

「バウアーの自由気まま お散歩日記」より拝借、加工しています。