コト|2023/08/28
きものを着るようになると、きものをいただくことも多い。
着付けを習い始めたとき、祖母にはタンスごと譲ってもらった。
わくわくしながら引き出しを開けると、中からは羽織がたくさん出てきた。
きものを一枚作るより、羽織を作る方がもちろん財布には優しい。
きものは同じでも、羽織で見た目の変化を楽しもうとしていたのだろう。
お洒落だった祖母の工夫のあとが伺われた。
譲られて私の許にやってきたきものには、自分が選んだものとは違う面白さがある。
元の持ち主と私の好みは当然違うので、まず自分では選ばない色や柄のものがやってくる。
ところが洋服とは異なり、「どうかな?」と思った色や柄の顔映りが案外よいこともある。
そうなると、手持ちの小物も出してきて、あれやこれやとコーディネートを考えることになる。きものを譲られると、そんな幸せな時間をも一緒にいただくことになるのだ。
私の手許にやってきたものは、元の持ち主が「もう着ないから」という理由で手放したものが大半だ。
そうして私のところで“第二の人生”を歩み始めたきものに袖を通すとき、ふと前の方はどんな帯や小物を合わせたのだろう、と考えを巡らせることがある。
どんな場所に着て行ったのか、誰に会うときに選んだのかと想像すると、私の知らない時間や空間を経てここに辿り着いたきものに、不思議な縁を感じてしまう。
元の主はどんな思いで自分のきものを送り出したのだろう。彼女たちが手放すきものに託した愛情や思いを、ちゃんと受け取れていたらいいなあと思わずにはいられない。
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