コト|2023/08/28
突然ですが私のラッキーカラーはオレンジです。
ある店頭でオレンジ色の美しいフォルムをしたバッグに一目惚れし、思わず衝動買いをしたのは今から約15年前。
20代後半で社会人だったとはいえ、当時、衝動買いをするにはとても高い買い物でした。
でも、ちょうど引っ越しをし、習い事などを始めて充実した日々を過ごす中、「このオレンジのバッグなら、私の新たな挑戦を後押しし、ココロに鮮やかな彩りを与えてくれるのでは!」という期待感の方がはるかに大きく、即購入を決めました。そして、そのバッグは想像以上に私の毎日にとって大事な存在になりました。
その後結婚、出産、育児休暇を経て職場復帰し、再びこのバッグと日常を過ごす中で、徐々にその外見に変化が・・・。
購入当時、とても気に入っていた色とつやが全体的に落ちてしまい、持ち手はくすみ、ところどころに色が欠けた場所が見受けられ、かつての輝きがなくなりつつありました。
「サスティナブル(持続可能)」という言葉が、今のように一般的ではなかった頃から、服や靴は修理をしながら愛用のモノを使い続けている私。
修理できるのだろうか?という不安はあったものの、迷わずバッグの修理を検討することにしました。
友人からの勧めで、複数の工房に見積もりをお願いすることに。もちろん購入したブランドにも依頼しました。その結果分かった必要な修理の項目は、以下の3つでした。
●ハンドル部分(取っ手)の交換
●全体的にオレンジ色を補色
●コバの塗りなおし(革をカットした裁断面の処理)
【修理前のバッグ】
内心は、「結構なダメージなので修理するより、他を購入したほうがいいのでは?」と言われるのではないかと半ば諦めモードだったのが、すべての修理工房から言われたのは、「綺麗にお使いだったのですね。大事にされてきたのが分かります」と言われたこと。
この言葉にジーンときました。単にモノを修理するのではなく、持ち主がどのような想いをもってこのバッグと過ごしてきたのか、私の立場にたって共感して頂いたことに感動しました。
各社からの見積もりは、即答でお願いできる金額ではなく、しばらくはバッグと対峙しながら考えた後、やっぱり修理に出そう!と決意しました。ここで愛着あるバッグとお別れすることがどうしてもできなかったのです。
しかも、お願いしたのは購入したブランド。修理費用が一番高く、お財布的には全く「サスティナブル」ではなかったのですが、結果的にこの決断は間違っていませんでした。
そのブランドがイタリアを代表するメゾン、サルヴァトーレ フェラガモです。
電話での相談から見積もり、修理を迷う私に寄り添い、修理後のバッグの仕上がりを同じように喜んで頂き、その一貫した対応にはホスピタリティーを感じました。
また他社ではハンドル部分の交換により、現在使用している鋲が再利用できず、現在の鋲に極めて似せた鋲で修理との事でしたが、対して同ブランドでは同じ鋲が見つかり修理が可能という点も後押ししました。10年以上も前の商品なのにパーツがあるなんて!とそこでも感動。そして、何といっても新たに購入したかのように生まれ変わったバックの出来栄えに惚れ惚れ。高級メゾンの職人技を目の当たりにして、しばらく言葉が出てきませんでした。
【修理後のバッグを弊社スタジオで撮影】
「本当にあのダメージのあったカバンですか?一から作ったのではないですよね?」と聞くこと数回。
新しいスタートを切り、期待を膨らませて衝動買いしたあの頃の感情が沸き起こり、形容しがたい感動と懐かしい想いで涙が出そうになりました。
今回は環境に配慮したSDGsやサスティナブルという考え方があって、修理に出したわけではないのですが、この選択により、思い入れのあるモノとのつきあいが「持続可能化」できただけでなく、由緒あるブランドの職人たちのモノづくりに対する姿勢や努力も伺い知ることができ、感動的な経験となりました。
取材協力:
サルヴァトーレ フェラガモ
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