コト|2023/08/28
世の中がコロナ一色となり移動や行動が制限されるようになって、早一年。
今年、年長になった娘が通う保育園でもイベントごとは縮小や延期となり、且つ、人数制限のため保護者は1名のみの参加というケースも増えた。各行事において親が観覧できない分、カメラマンさんが普段より多めの写真を撮ってくださり、成長を感じられる園の行事は、一緒に体感、その時間を共有するといった思い出こそは少なかったが、写真や動画、先生からのメモといった各種ツールを通じての思い出は増え、子供や園とのつながりは例年に比べて一層強くなったと感じる。
現代のIT社会では、場所を問わずネットを通じてTV電話や動画、写真を送ることでコミュニケーションを図り、一定の共有はできるが、「直接つながる」という体験は難しい。まだ、一緒に暮らす環境では、工夫次第で経験の共有やつながりを持てることが今回実感できたが、家族が遠く離れた地に住んでいる場合は、それができない。そんなことを知る衝撃的な出来事があった。
それは、カナダに住む義父の死。
当然、日本からのフライトも規制があり、仮に現地に着いても2週間の隔離要請。結局、私たちは父の最期を看取ることも、火葬を見届けることもできなかった。ただ、父が灰になって骨壺に入った写真が現地の家族から送られてきたときには、まるで他人事のようで「本当に私たちの父は亡くなったのか。」と思うほどに、実感がわいてこなかった。
お葬式という形で、お別れの機会を持てなかった私たち夫妻と娘には、その場にいたカナダの家族たちと悲しみを共有する時間をもてず、かけがえのない父が亡くなったという現実を今でも信じられないままである。
そういった意味において「お葬式」というのは、故人とのお別れの場でもあり、気持ちの整理や区切りをつけるためのもっとも重要なセレモニーだと、今回改めて感じた。主人が自分でその「区切り」をつけたのは、obituaryと呼ばれる死亡記事を書いたことだ。この記事は、誰もが投稿できるもので、ローカルの新聞に掲載されるのだが、父の生い立ち、家族、そして父の人生に関わった全ての人に感謝する内容を書くことで、主人自身が父が亡くなったことの事実をようやく受け入れることができたそうだ。
このコロナ禍、全世界で同じ体験をした人が多くおられると思う。
一緒の時間をリアルに共有し感じることが、こんなにも尊いものなのだということを、
コロナ禍になるまで分からなかった。「当たり前」がどんなに有り難いことなのか、これからの私の人生において、悲しくも突き付けられた現実を教訓にし、今を大事にしようと感じた出来事だった。
●父を偲び生前好きだった花と共に。
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