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「印刷見当を合わせる技術」とは?

2018年3月22日

こんにちは、印刷技術コラム担当の安田です。

今回は、「印刷見当を合わせる技術」について述べたいと思います。

 

一般的なカラー印刷はブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色で構成され全ての色彩を表現します。
印刷機械には各色の印刷ユニットがあり刷版を取付けます。用紙はそれぞれの印刷ユニットを通過しながら、墨→シアン→マゼンタ→イエローの順にインキを載せて印刷物が刷り上がります。

ここで重要になるのが4色の版見当をしっかり合わせることです。
なぜしっかり合わせる必要があるかと云うと、単純に絵柄見当がズレてしまう事はもちろんですが、絵柄を構成する網点レベルでもモアレ現象を助長してしまう事があるからです。
刷版は厚さ0.24㎜の薄いアルミ板です。
これを毎時15,0000回転する印刷機に取り付けるため、印刷中に遠心力で外れてしまう事が無いようにしっかり取り付けなければなりません。
刷版の両端を版胴の万力に固定し強いテンションを掛けて引っ張るためどうしても僅かな版伸びが発生します。

さらに印刷はインキと水の反発を利用するため、紙面に載った水の影響で僅かですが印刷用紙にも伸びが生じます。
また用紙は0.1㎜前後と薄い上に、しっかりインキを転移させるために大きな圧力を用紙に掛けることから、ここでも用紙の伸びによる見当ズレを発生させてしまいます。 印刷オペレーターは様々な原因で発生した見当ズレをコントロールする技術が必要になるのです。

見当合わせの作業は、通常各版の見当トンボをルーペで覗いて4本の線が1本になるように調整します。
左右の捻じれや上下方向のズレを修正するのが一般的なやり方ですが、これだけでは不十分です。
熟練したオペレーターはトンボ見当を「外(そと)見当」、絵柄見当を「内(うち)見当」と呼び、外見当を合わせ終えると必ず内見当をチェックします。  

なぜかと言いますと、外見当のトンボは製品にならない部分に付けられているため、この見当が良くても断裁して捨ててしまう部分だからです。
実際に製品となって納めさせていただく絵柄の見当がしっかり合っていないと合格にはなりません。
特に白抜き文字や掛け合わせ文字から色が顔を出していないか、ストライプ柄の見当はあっているか、ロゴの見当も重要です。  

逆に多少見当がズレても品質に影響しない風景柄や単色の地網部分などもあります。熟練オペレーターは重要な部分を完全に合致させ、補正できない僅かな歪を品質に影響しない部分に割り振り見当合わせ作業を行うのです。

お客様からお預かりした画像データを忠実に印刷再現するためのとても重要な技術だと考えています。  

次回は「品質管理」について詳しくお伝えしたいと思います。

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