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メタバースは失敗する?現状と将来性を活用法とともに紹介

2023年7月13日

近年、世界中で注目を集めているメタバース。
インターネット上に構築された三次元の仮想世界・仮想空間、もしくはそのサービスを意味します。
2021年にFacebookのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者が社名をMetaに変更し、メタバース事業への本格参入を発表したことでより認知度を高めました。
市場に参入する企業が増えつつあるなか、いまだ「メタバースは失敗する」という懐疑的な意見もあります。
本記事では、メタバースが失敗するといわれる理由や今後見込まれる展望や、メタバースの活用法などを紹介します。

メタバースとは

「仮想空間」と和訳されるメタバースは、インターネット上にコンピューターグラフィック(CG)で表現された三次元の世界、もしくはそのサービスを意味しています。
「メタ(meta、卓越した)」と「ユニバース(universe、宇宙)」を組み合わせた造語です。
利用者は「アバター」と呼ばれる自分の分身を介して仮想世界に入り、遊んだり会話をしたり買い物をしたりといった具合に誰かとコミュニケーションを取ることができます。
新型コロナウイルス感染予防対策でリモートワークが定着したことによって、ビジネスシーンでもバーチャル会議やリモート商談などでより活用されるようになりました。
混同されがちなVR(仮想現実)とは根本的に概念が異なります。
メタバースは「仮想空間そのもの」、VRは「仮想空間を体験するための技術」を指しています。

※メタバースとVRの違いについて詳細はメタバースとVRの違いは?それぞれの特徴と活用事例を紹介をご覧ください。

メタバースが失敗するといわれる主な理由

近年注目のメタバースですが、「失敗する」という言葉とともに検索されるケースも多くみられます。
どのような理由からでしょうか。メタバースの現状や課題とともに紹介します。

実用性がないと思われている

メタバースは珍しさや話題性があるが普及に至らなかった、いわば一過性のサービスと考えられがちです。次に紹介する2つの事例のように、失敗と評価される仮想空間サービスの事例が複数存在します。

■セカンドライフ
2003年に米カリフォルニア州サンフランシスコのリンデンラボ社が発表した仮想空間サービスです。
利用者はアバターを介して仮想空間内で他者とコミュニケーションを取れるのはもちろん、稼いだ通貨を現実世界のお金に換金できることが大きな特徴として挙げられるでしょう。

買い物や商品の販売はもちろん、不動産を取り扱うことも可能です。
メタバースの先駆者的存在でメディアや企業に注目されて発展し、一時は月間利用者が100万人を超えましたが、その後急速に衰退しました。日本でもブームになったものの、1年程で失速しています。
衰退原因は、主に当時の機器と通信環境にあったといわれています。セカンドライフを快適に利用するためには、当時としてはスペックの高いPCが必要でした。
さらに通信は光回線レベルのハイスピードなインターネット環境を要するため、基準を満たす利用者が限られていました。時代を先取りしすぎたサービスであったため、広く一般へ普及するには至りませんでした。

■Meta
2021年10月にFacebookの最高経営責任者マーク・ザッカーバーグ氏が社名をmetaに変更し本格的にメタバース事業へ進出することを表明しました。
約1兆円超を投資し同年12月にメタバース対応のゲーム「Horizon Worlds」の提供を開始。
「XRプログラム・研究基金」も設立し、政府や学術機関などへ2年間かけて投資しています。
しかし同社の株価は1年間で半分以上という大幅な減少を見せました。
業績も悪化して多大な損失を計上しメタバース事業から撤退のうわさも報じられたほどです。莫大な投資の結果が出ているとは言い難い状況にあります。これを「失敗」ととらえる人もいます。
とはいえ、ザッカーバーグ氏は長期的プランを見据えており事業継続を明言しています。
収益が出る見通しを2030年以降としており、まだ結論付けるのは早計ともいえるでしょう。

これらの事例が「メタバースは実用性がない」といわれる理由ですが、実際には活用する分野は広がりを見せています。
没入感を味わえるゲーム分野はもちろんですが、コロナ禍でリモートワークが定着したことでバーチャルオフィスやイベントといったビジネスで活用する可能性も高まっています。
医療分野においても活用は進み、メタバースを使った法人向け社員メンタルヘルス支援サービスも登場しています。
アバターを介したコミュニケーションによって対面での会話に抵抗のある方も緊張が和らぎ、デリケートな相談もしやすいといわれています。
企業にとって社員のメンタル不調や離職予防のサポートになるでしょう。

VR機器が普及していない

メタバースを存分に楽しむには、ある程度の高スペックなVR機器を使うと快適に利用できます。
なかでもVRゴーグルはコミュニケーションの取りづらさの緩和に向いているとされています。
しかしVR機器は「つけるのが億劫」「初期費用がかかる」といわれ、手軽にメタバースを始めづらい一因にもなっていました。
近年はワイヤレスをはじめとする技術向上によって軽量化し解像度も改善されてきました。
以前に比べ価格も下がりつつあり、商品価値の向上と相まって、より手に取りやすくなっています。

メタバースの今後

メタバースの将来性を感じるトピックを紹介していきましょう。

企業・行政の参入

前述の旧FacebookのMetaをはじめMicrosoftやソニー、パナソニックといった大手企業がメタバース事業に参入しビジネスに向けた投資を開始しました。
各社ともに収益向上に繋げるビジネス創出や作業現場の効率化、各種シミュレーションへの活用などを目指しています。
メタバースを活用する行政も増えつつあります。

2020年5月に現実の渋谷に関連する団体や企業が参加する「バーチャル渋谷」を自治体公認で立ち上げました。
福井県越前市もメタバースによる情報発信サービスを開始しています。
2022年7月には総務省の主導で「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会」が発足しました。

コロナ禍による生活様式の変化

2020年に世界的な広がりを見せた新型コロナウイルスの感染拡大防止対策がメタバースの再評価の一因にもなっています。
さまざまな行動や経済活動が自粛されるなか、自宅にいながらイベントや旅行、買い物を疑似体験できるメタバースに注目が集まりました。
コロナ禍が落ち着いてからも仮想空間を使ったイベントや展示会などの開催が定着し、さらなる発展が見込まれています。

市場の見通し

技術の進展とサービス開発によって、メタバースの世界市場は2021年に4兆2,640億円だったものが2030年には78兆8,705億円まで拡大すると予想されています。
メディアやエンターテインメントだけではなく、教育や小売りといったさまざまな領域での活用が期待されています。

メタバースの普及状況

総務省が運営する「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会」のなかで2023年に三菱総合研究所が取りまとめた資料「メタバースに関する動向等」においてメタバースのプラットフォーマー日米9社に対して実施されたインタビューが掲載されています。
多くの事業者が「VRデバイスの普及率が低いため、メタバースの市場拡大のためにはVRデバイスの普及を進めることが重要」と考えており、現段階での「VRデバイスからの利用者は10~20%程度。
これはアーリーアダプター層(新しいサービスやガジェット、デバイスを早い段階で使う人)に該当するのではないか」との見方もありました。

また、総務省は「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会の中間とりまとめ案」について資料を公表しています。
資料には「メタバースはサイバー空間において距離や時間、活動範囲など様々な制約から解放されるため、今後の我が国の発展に向け、社会の変革に大きな可能性を有している」と明記されており、地域活性化やテレワーク、教育研修といったビジネス化に向けた課題も整理しています。
メタバース業界にはMeta、ソニー、任天堂など、すでにさまざまな企業が参入しており、日本発のメタバース・ベンチャーも複数誕生しています。
政府として「メタバースに係るイノベーションの促進に取り組むとともに、普及の過度な制約にならないよう留意しつつ、安全・安心なサイバー空間の確保に向けた対応を進めることが必要」とも記されています。

メタバースの活用例

メタバースはどのようなものに活用されているでしょうか。

ゲーム

メタバースゲームは三次元の仮想空間でリアリティーと没入感のあるプレイを体験できることが特徴で、有名なタイトルを多く輩出しています。
Epic Gamesが提供するオンラインのバトルロワイヤルゲーム「Fortnite(フォートナイト)」です。
ソロやチームで戦い、レベルに合わせてチームを組めることから初心者からプロまで楽しめるといわれています。
メタバース要素としては利用者が自分でオリジナルゲームを作れるクリエイティブモードを提供している点が挙げられます。
ボイスチャットなどで他のプレイヤーと交流でき、コミュニケーションの場としても利用できます。

任天堂がNintendo Switchのゲームソフト発売した「あつまれ どうぶつの森」はコロナ禍の外出制限時の「巣ごもり需要」として話題になったゲームで、ログインしなくても現実世界のように時間が経過しているといったメタバース要素が含まれています。
利用者はアバターを使ってゲーム内の無人島で生活を自由に楽しめ、通信によって他の利用者ともコミュニケーションをとれます。アバターは操作ひとつで表情を変えられ、企業とコラボしたコンテンツも展開しています。

買い物

メタバースはショッピング分野でも活用されており、主に「バーチャルショップ」と「メタバースEC」があります。

バーチャルショップは、オンライン上に構築された3DCGの仮想店舗で買い物体験ができるコンテンツです。
利用者は実在の店舗にいるように仮想空間に展示された商品を見たり、購入したりできます。
スウェーデン発のファッションブランドのH&MやセレクトショップのBEAMS、GUCCIやNIKEなどの大手ブランドもバーチャルショップに取り組んでいます。

メタバースECは既存のメタバースショッピングモール上に3DCGで構築した仮想店舗をオープンさせることを指します。
現実の世界の百貨店や「イオンモール」などの商業施設へ出店する仕組みを、インターネットの仮想空間で行うと考えるとイメージしやすいかもしれません。

三越伊勢丹が構築した仮想新宿を舞台とする独自のメタバース上にある「仮想伊勢丹新宿店」では出店するさまざまなショップで買い物体験ができます。

イベント・ライブ

企業がメタバースを用いてイベントを開催したり、実在するミュージシャンがメタバース内でライブをしたりするケースが増えてきています。

先に紹介したメタバースのバトルロワイヤルゲーム「Fortnite」内でシンガーソングライターの米津玄師、星野源がライブを実施しました。
多くの人気キャラクターを生み出すサンリオ開催の「サンリオバーチャルフェス」はリアルとバーチャルが融合したメタバースの音楽フェスです。
これまでにAKB48といった実在するアーティストも参加しています。
関西の大手私鉄、阪神阪急HDは同社が百貨店を含む大阪・梅田の街を再現したメタバース空間上でVTuberなどのバーチャルキャラクターによる音楽フェスを実施しています。 

教育

メタバースは教育分野においても用いられています。
時間や場所の制約を受けないうえに、アバターを介して現実世界ではできないことも含めた「体験」から学べるのが活用される理由の一つでしょう。

英会話学校を運営するイーオンはメタバースを利用した英語のプラットフォーム「immerse」を運営しています。メタバースを使って世界中で生きた英語に触れられるだけでなく、ホテルや空港といった外出先でのシチュエーションを通して実生活に通じる英会話を身につけやすくなります。

観光

大阪市・大阪府は大阪・関西万博に向けて大阪の魅力を国内外に発信する「バーチャル大阪」をメタバースプラットフォーム「cluster(クラスター)」に公開しています。
観光スポットとして有名な道頓堀や大阪城などを眺めながら大阪市街をアバターで散策できます。ライブや参加型イベントも随時実施され、今後エリアやコンテンツのアップデートも予定されています。

ビジネス

メタバース上のオフィスでアバターの姿で働き、会議に参加することで、リモートワークでの課題となっていたコミュニケーション不足の緩和が期待できます。
例えば、旧FacebookのMetaはメタバースを活用したバーチャル会議室サービス「Horizon Workrooms」を提供しています。

※詳細はメタバースのビジネス活用のメリットとは?事例を交えて紹介をご覧ください。

活用が進むメタバース

「失敗する」といわれるメタバースですが、機器や通信環境の進歩とともに着実に市場が拡大しつつあります。
さまざまな分野の大手企業が続々と事業に参入し、利用者の意識も変わりつつあります。
メタバースはゲーム好きの一部の層が楽しむものから、買い物やイベント・ライブ、教育、旅行へと派生した幅広いジャンルで活用できるものという認識になってきているのではないでしょうか。
企業が導入を検討する際は、専門家にサポートを依頼するのも一案です。
大平印刷はメタバースを活用した展示会や工場見学動画など、専門スタッフがトータルで提案しています。
自社の目的に合った技術の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

大平印刷のメタバース・VRサービス
https://www.taihei.co.jp/service /xr_vr/

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